自然公園の中にある公衆トイレの建て替え案。
「多目的トイレ」という言葉が出てきて久しいですが、子供連れの方用の授乳室や女性用にはパウダールームと求められる機能は時代とともに変化し多様化しています。また、LGBTの方をはじめ、子育て中の夫婦、要介護の老人たちにとってトイレは男女という区分がどうしても負担になることが多いかと思います。生き方の多様性を担保するためにハードはもっと変化する必要があると感じます。
僕たちの提案は、男女の境をなくすため、個室をそれぞれ単独で円状に配置し、直接出入りするようにしました。共用部をなくすことで個室を大きくとり、将来設備の設備の増設にも対応します。この円状平面形状は既存の植栽を避けながら計画でき、自然への影響を最小限に抑えます。また中庭は休憩所として機能します。円は木材の柱の連続により壁を形成し、時間がたつにつれ森の緑に馴染んでいくことを期待しました。
森の中の建築として、建物というより生垣などの工作物に近く裏表のない、穏やかな表情をめざしました。